2024.01.23

香典返しとは?金額の目安やマナーを解説

香典返しは、故人の霊前にお供えする品や相互扶助の目的から頂いた香典に対するお返しの品です。最近では香典返しを葬儀当日に渡す「即日返し」や香典返しを辞退するといった今までにない流れもあり、判断に迷うケースも見られます。ここでは香典返しの役割や相手別のマナーなどを解説します。

 

●香典返しとは?

 

香典返しとは、香典を

頂いた方へ贈るお返しの品です。

 

いただいた香典金額の1/3〜1/2に

相当する額の品物を、四十九日を

過ぎてから贈るのが一般的です。

 

「贈り物」という側面があり、

相手に喜ばれる品を選んで贈ることがよいでしょう。

 

香典返しの役割を解説

香典はもともと、

「香奠(こうでん)」と書いていました。

 

この「奠」には「そなえる・まつる」

という意味があります。

 

昔の香典は、金銭ではなく

お供え物になるような花や線香、

食べ物などがメインで、

ご遺族の生活の助けにもなっていました。

 

みなで持ち寄る品々の中から一部を、

参列のお礼として分ける習慣がありました。

 

この分ける習慣が

香典返しのルーツであり

香典返しの本来の役割なのです。

 

会葬御礼との違い

 

香典返しと似たものに

「会葬御礼」があります。

 

こちらは香典返しとは性質が異なり、

会葬御礼は、葬儀に参列されたすべての

人に渡す品のことで、香典を頂かない方にも差し上げます。

 

●香典返しをいつ送る?

香典返しを贈るタイミングは、

遅くとも「忌明けから1か月以内」です。

 

「忌明け」は、宗教によって

内容や呼び方が異なります。

 

仏教以外の宗教では、葬儀のあとの

「気持ちに区切りを付けるための儀式や行事」が

行われたときを指します。

 

仏式:四十九日・忌明け

神式:五十日祭

キリスト教式:

カトリック:追悼ミサ(30日)

プロテスタント:召天記念日(1ヶ月後)

 

表に挙げた法要や式典のあとに、

香典を頂くことも珍しくありません。

 

その場合は、香典を頂いてから

1か月以内に贈るのがマナーとなります。

●香典返しの金額はどう決める?

 

香典返しの金額の目安は諸説あり、

その理由の多くは、地域の違いにあります。

 

たとえば、「関東は1/2、関西は1/3」という説です。

 

むかしは、葬儀に参列する人たちは

同じ地域の人だったため、

地域ごとのしきたりがありました。

 

しかし、いまは日本全国から参列者が訪れます。

 

そのため、いまは「1/3〜1/2の範囲」が相場です。

ときには、高額な香典を頂くこともあるでしょう。

 

香典返しはあくまで「気持ち」であり、

絶対に半分を返さなければならないという決まりはありません。

●香典返しの品物に関するマナー

 

香典返しの品を選ぶ際は、

「後に残らないもの」いわゆる消えものと

「日持ちするもの」を選ぶようにしましょう。

 

たとえば、コーヒー・お茶、

お菓子、海苔、調味料セット

といった日持ちのする食品や、

タオル、洗剤・石けんなどの日用品です。

 

肉や魚の加工食品、昆布や鰹節、

お酒など慶事に用いられるものは、

香典返しにふさわしくありません。

 

身内の場合

香典返しは、

たとえ相手が身内でも

ほかの方たちと同じように用意しましょう。

 

ただし目安は、頂いた香典の

金額の1/3程度でもよいかもしれません。

 

その理由は、ご親族であるほど

香典の金額は高額になる傾向があるからです。

 

これは、葬儀が何かともの

入りであることや、遺族の生活費の足しに

してほしいなど相互扶助の意味合いが強いためです。

 

迷った場合には、

カタログギフトにするという選択肢もあります。

 

会社関係者に渡す場合

 

「会社名と代表者名」で

頂いた場合は、福利厚生の一部として

会社経費として贈られた可能性があります。

 

その場合は、香典返しは不要です。

 

判断が難しいときは、

総務部に直接問い合わせましょう。

 

中小企業などで社長から

個人的に頂いた場合は、通常通りの目安で

香典返しを用意します。

 

また、上司や同僚から

個別に頂いたときは、

それぞれに香典返しを贈ります。

 

「社員有志」となっている場合は、

忌明けで出社した際に、

みんなで食べられるような菓子折りを持参します。

 

お見舞いに来ていただいた方・葬儀の手伝いをしていただいた方

 

病院にお見舞いに来てくださった際、

お見舞いの品を頂くことがあります。

 

お見舞いのお返しをしないうちに亡くなられ、

そのうえさらに香典を頂くケースがあります。

 

このようなときは、忌明けに香典返しの金額に、

お見舞いの金額の1/3程度の金額を上乗せした品を用意しましょう。

 

なお、葬儀を

手伝ってくださった方へは、

直接お礼をお渡しするか、

香典返しの金額に少し上乗せした品を贈ります。

 

遠方の方の場合

 

遠方から参列していただいた

方への香典返しの目安は通常の相場となります。

 

飛行機や新幹線などで

遠方から来ていただいた場合でも、

「交通費」などは加味せずお返しするのが一般的です。

 

葬儀の参列は、ご遺族側から

お願いするものではなくあくまで

参列者の意思によるものだからです。

 

ただし、四十九日法要や一周忌法要など

法要で声がけするときは「招待」に

なるので交通費は施主が負担するとよいでしょう。

 

●香典返しのFAQ

 

香典返しは熨斗(のし)?掛け紙?

 

改まって人に品を贈るとき、

正式には品物の上から紙を掛けて水引を結びます。

 

いまはそれを簡略化して、

水引が印刷された紙が使われています。

 

その紙は2種類あり、

弔事と慶事で使い分けが必要です。

 

ひとつは、熨斗(のし)紙といい、

水引の右上に熨斗が描かれている慶事用の紙です。

 

この熨斗は、長寿の象徴の

アワビを薄くした「熨斗鮑(のしあわび)」を、

熨斗で包んだ状態をデザインしたものがあります。

 

熨斗紙はめでたいときに使われるので、

水引は赤と白もしくは赤と金です。

 

一方、香典返しは、弔事用の紙で

「掛け紙」といい熨斗のない紙です。

 

水引は白(グレー)と黒、

関西地方では黄色と黒で、

どちらも結び切りにしたものを使います。

 

さらに蓮が描かれたものは仏式用、

宗教問わず使う場合は蓮が描かれていないものを用意します。

 

香典は即日返し?

 

香典返しを葬儀当日に渡すことを

「即日返し」または「当日返し」といい、

比較的あたらしい習慣です。

 

従来、香典返しは四十九日を

過ぎてから贈っていましたが、

 

最近では葬儀当日に

香典返しを贈るケースが増えています。

 

これは、葬儀が簡略され

四十九日法要に参加しない人が

多いためと考えられています。

 

したがって、香典返しを

葬儀当日に渡してもマナー違反ではないといえるでしょう。

 

一般的に「即日返し」では、

香典返しの品は全員一律の金額の品にします。

 

そして、高額な香典を頂いた方へは、

後日香典の金額に見合った品を追加で贈ります。

 

なお、即日返しでも香典返しとは

別に会葬御礼を用意しましょう。

 

香典返しを当日渡す旨を

お礼状に加えておくと、

参列者にも即日返しが分かりやすく伝わります。

 

商品券でもいい?

 

香典返しに何を贈るか

迷う人は多いと思います。

 

そのせいか、近頃では

商品券を利用する人もいます。

 

商品券を香典返しに

利用してもマナー違反ではないのですが、

気を付けたいことがひとつあります。

 

それは、金額がはっきり分かってしまう点です。

 

とくに、高齢の方や

目上の方には金額があからさまで、

失礼と受け取られることがあります。

 

そのため、相手によっては

使い分けが必要かもしれません。

 

高額の香典を頂いた場合や

目上の方へのお返しは、

商品券と品物の両方で総額が

分かりにくくするという方法もあります。

 

おわりに

 

香典は「気持ちの現れ」なので、

お返しをする側としてもその気持ちを

推し量るのが難しい時があります。

 

とくに高額の香典を頂いたときや、

香典返しを断られた際です。

 

相手に失礼にならず、

お互いに気持ちよくお付き合いするには

マナーを守るのが最善の方法です。

 

なぜなら、マナーとは人と人の

意思の疎通を円滑にする役割があるからです。

 

今回の記事を参考に、葬儀における

重要なマナーである香典を把握していただければ幸いです。

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